FELL THE AIR@サンディエゴ:8年ぶりのエアレースで心が踊る街

現地に行ったつもりになれるエアレース旅行記

レッドブルエアレース・ワールドチャンピオンシップが、アメリカ・サンディエゴに帰ってくるのは2009年以来、実に8年ぶりのことだ。2009年と言えば、日本人パイロット室屋義秀がデビューした記念すべきシーズン。当時は手探り状態で1戦1戦に臨んでいた室屋選手も、今では有力な優勝候補のひとりなのだから、8年という月日の長さを実感せずにはいられない。

とはいえ、ここサンディエゴを包む、港町らしい開放的な雰囲気と温暖な気候は何年経っても変わることがない。

レース会場となったのはダウンタウンから徒歩5~10分ほどの場所にある、サンディエゴ湾の海上。ダウンタウンを歩いていても、軽快なエンジン音がはっきりと聞こえてくる。あたりにはハーバーや海岸沿いの遊歩道などが整備され、多くの人たちでにぎわうエリアである。

 

先ごろ行われた野球の世界大会、WBC(ワールドベースボールクラシック)の会場にもなった、MLBサンディエゴ・パドレスの本拠地ペトコ・パークも、レース会場からは目と鼻の先にある。

 

レース会場近くの海辺に出てくると、様々な船を見ることができる。プレジャーボートや帆船、さらにはアメリカ海軍の施設に近い場所とあって、軍関係の船も少なくない。

 

なかでもひときわ目を引くのが、空母艦ミッドウェイ。すでに"退役"した巨大空母は港に係留され、現在はミュージアムとしての役目を務めている。戦闘機やヘリコプターなどが展示されるとともに、艦内設備を見て回ることができる。

 

空母脇の公園には海軍兵士をモチーフにした巨大像が立っており、人気の撮影スポットとなっている。

 

ミッドウェイから海岸沿いを気持ちよく歩いて南に下ると、だんだんとパイロンが近くに見えてくる。遊歩道沿いにはテラス席を備えたレストランやカフェが並び、地元の人や観光客でにぎわっている。このあたりからでも十分にレーストラックを(しかも無料で)見ることができるので、海岸沿いの一段高くなったところに腰かけてレース観戦をする人も多い。

 

もちろん、有料の観戦エリアはさらに海上に張り出した場所に設置されており、パイロンはもう目の前。フライトする飛行機も間近に見ることができ、迫力満点だ。

 


有料の観戦エリアは芝生敷きになっており、折りたたみ式のイスを持参でやってくる人が目立つ。ビール片手に特等席でエアレース観戦というわけだ。 

 

レース会場の目の前に立つコンベンションセンターの一部は、高台からコースを見下ろす絶好の無料観戦エリアとなっており、レースが始まる前から多くの人が集まっていた。

 

レース会場を離れ、少し街を散策してみよう。サンディエゴのダウンタウンは古くからの街並みを残し、モダンなデザインの建物は少ない。

 

サンディエゴの見どころはあちらこちらに散らばっており、歩いて回るには大変だが、トロリーと呼ばれる近郊電車が走っているので、車がなくても楽に見て回ることができる。

 

レース会場の北に位置する「リトルイタリー」は、イタリアンレストランが軒を連ねるエリアだ。食事をしなくても、ブラブラ歩いていても楽しい。もちろん、トロリーの駅も近くにある。

 

夜になると、派手な電飾付きのサイクルタクシーが街のなかを走り回る。どこまで派手にできるかを競い合っているかのようだ。

 

今回のレースでは、街のなかでレッドブルエアレースの"広告"を見ることも多かった。サンディエゴの街全体でイベントを盛り上げようとしてくれているようで、ウキウキした気分になる。

 

スーパーマーケットではレッドブル売り場が特設され、ポップがエアレース仕様になっていた。

 

入口が"エアゲート"になっているレストランもあった。

 

サンディエゴは、最近世界的に人気のクラフトビール製造が盛んな土地。あちこちにブリュワリー直営のレストランや、様々なクラフトビールを飲ませてくれるバーがある。週末ともなると、どこも大賑わいで、夜は寒いが屋外の席にもお客さんが多かった。

 

そして最後に、今回のレースから大きく様変わりした、室屋選手の機体にも触れておこう。シルバーの機体を見慣れた目には、緑と青のツートンカラーは違和感がまったくないわけではないが、飛んでいる姿はなかなか見栄えがいい。

 

前回のアブダビのレース時に、室屋選手のエンブレムが変わったことをお伝えしたばかりだが、続けざまにチームカラーも変更になったことで、ハンガーも一新。まるで別のチームになったかのようだ。

 

チームカラーが変わって心機一転ではないが、室屋選手の成績もアブダビから一転した。
エンジントラブルでまったく勝負にならなかった開幕戦から、圧勝とも言うべき勝ちっぷりで海外レース初優勝。サンディエゴは、日本のレッドブルエアレースファンにとって記念すべき場所となったのではないだろうか。

 

(Report by 浅田真樹)

 

◾️Information

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