FEEL THE AIR@アブダビ:いつもと違うスタート

今年もレッドブルエアレース・ワールドチャンピオンシップが、UAEの首都アブダビに戻ってきた。アブダビで新しいシーズンの幕が開けるのは、毎年恒例の10回目。しかも、今年の開幕戦はレッドブルエアレース通算75レース目という記念すべき一戦だ。

アブダビで開かれるレッドブルエアレースに特徴的なのは、そのロケーション。レーストラックが設けられた人口の湾の周りには、林立する高層ビルあり、巨大ショッピングモールあり、ビーチありと、まったく毛色の異なる施設が取り囲む。会場でレースを見ていて、ふと周囲を見渡すと、自分がどこにいるのか分からなくなるような何とも不思議な感覚に陥る。

さて、今季のレッドブルエアレース。開幕戦に訪れて気づいたのは「色の変化」だ。ずいぶんとイメチェンしたな、という印象を受ける。
例えば、この巨大看板。レース会場に隣接するショッピングモールの脇に毎年掲げられている、いわば"大会の顔"なのだが、昨年までの紺色ベースのものから、白に変わっていた。

色の変化は看板だけではない。新シーズン開幕にあたり、レース機のカラーリングにもずいぶんと変化が見られた。とりわけ顕著なのは、突然の「緑の勢力拡大」だ。
昨年途中、マスタークラスに新規参戦したクリスチャン・ボルトンは、すでに白をベースにした機体に薄い緑を差し色として使っていた。当時、ボルトン曰く、「他のパイロットがあまり使っていない色だから、見栄えがすると思って選んだんだ」とのことだったが、まさかこんな緑が増えるとは思わなかっただろう。

今季から新たなに緑の機体に変更したのは、フランソワ・ルボット。昨季まではブライトリングカラーの黄色をベースにしたものだったルボットは、そのイメージを継続しつつも変化を求め、当初は「昨季とはちょっと違う黄色」を考えていたという。だが、ピンとくる色合いに巡り合えず、デザイナーとあれこれ相談を重ねた結果、黄色に近い鮮やかな緑、「フラッシンググリーン」にたどり着いたという。「テレビ映えがするから気に入っている」とはルボットの弁だ。

そしてもうひとり、今季から緑の機体を操るのは、ルーキーのミカエル・ブラジョー。昨季限りで引退したナイジェル・ラムのMXS-Rを引き継いだブラジョーだったが、機体はそのままでも、色も含めたデザインは大きく変化していた。サビや傷みなど、あえて"ダメージ加工"がほどこされた機体は、非常に斬新だ。

ハンガーを遠くからながめてみると、いかに緑が多くなったがよく分かる。ちなみに、ハンガーには緑を使っているマイケル・グーリアンも、かつては白ベースの機体に緑を差し色として使っていたが、現在は使っていない。

ちなみに日本人パイロット、室屋義秀も色の変化ではないが、今季からチームロゴを変更している。なんでも、昨季の千葉で初優勝を果たし、さらに上を目指すために心機一転という意味合いもあるようだが、「今まではエアレースとエアショーでは別のロゴやエンブレムを使っていたが、それを統一しようということになった」というのが大きな理由だ。これに合わせて、機体の尾翼にあったロゴが変更されている。ちょっとしたことのようだが、ずいぶん見た目の印象は変わるものだ。

チーム・ファルケンのハンガーにも、あちらこちらに大きく旧エンブレムが描かれているが、これも次戦から変更されるとのこと。このハンバーも今回で見納めだ。

さて、話をレース会場に戻そう。
アブダビのレッドブルエアレースでは、会場脇の広場では「RED BULL AIR RACE VILLAGE」と銘打って、様々なサイドアクトやアトラクションが行われるのも恒例。自分の写真を貼り付けたオリジナルのレッドブルカップが作れたり、レッドブルエアレースのロゴが入った写真を撮れたりと、楽しみは盛りだくさんだ。

会場に立てられていたサイドアクトのスケジュール表を見ると(アラビア語は読めないが)、なんと夜11時まで様々なプログラムが組まれている。日本ではなかなか考えられないことだが、ここアブダビでは週末は夜遅くまで外で遊んでいる(といっても、お酒は飲めないので、お茶をしながらおしゃべりしたり、スポーツをしたりと実に健全)のが当たり前なのだ。

レースが終了し、メディアセンターやスカイラウンジの撤収作業が始まっても、ここではまだまだ宴たけなわ。多くのお客さんで賑わっていた。

もちろん、レース会場でのサイドアクトも盛りだくさんだ。

今年のアブダビは、昨年よりも開催が1カ月ほど早かったため、暑さもそれほど厳しくなく、例年に比べると風も弱かった。レーストラックがある湾内は風で波立ち、パイロンもゆらゆらと揺れるのがいつものアブダビなのだが、今年は水面が鏡のようにフラットで、きれいに太陽の光を反射していたほどだ。
昨年のレッドブルエアレースは悪天候にたたられることが多く、まともにレースが行われないことがほとんどだった。それを考えると、このレースは3本の公式練習から予選、ラウンド・オブ・14、ラウンド・オブ・8、ファイナル4と、すべてのセッションが滞りなく行われた。

やっぱりこうでないと。
久しぶりにレッドブルエアレースの醍醐味を堪能できた一戦だった。

 

(Report by 浅田真樹)

 

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