ナイジェル・ラムの眼 Part 1

偉大な元ワールドチャンピオンが現役マスタークラスパイロットを評価する

Lamb offers his opinions on the pilots

2014シーズンのRed Bull Air Raceワールドチャンピオンに輝いたナイジェル・ラムは2016シーズン限りで現役を引退したが、通算64レースを経験した大ベテランは2017シーズンも鋭い目で見守っている。

ナイジェル・ラムは2017シーズン開幕戦アブダビをその熟練した目で観戦し、今年のマスタークラス全パイロットに対する印象をまとめた。ラムは評価基準について「当然ながら、各レースは長いシーズンの1戦に過ぎないので、アブダビの1戦だけで結論を下すのは難しい。とはいえ、この開幕戦は昨シーズンのインディアナポリス戦からどんな変化があったのかを見出す手がかりになる。今シーズンは優勝できる可能性が高いパイロットが多いので、今回の評価は各パイロットの勝てる可能性に重きを置いている」と説明している。

ラムはマスタークラスパイロット14名を「ベテラン」、「熟練」、「中堅」、「新人」の4グループに分類している。ベテランと熟練は、エンジンパワーと機体重量が大きなアドバンテージになり得た2014シーズン以前と、エンジンと機体重量がレギュレーションによってコントロールされるようになった2014シーズン以降の両時代を経験しているパイロットで、中堅と新人は、2014シーズン以降にRed Bull Air Raceに参戦した、もしくはチャレンジャークラスからキャリアを開始したパイロットだ。

パート1ではラムがベテラン3名を評価する。

 

カービー・チャンブリス

カービーは現役最年長パイロットになった事実を心地良く思っていないだろうが、その分だけ経験豊富だ。彼は2度のワールドチャンピオンを獲得し、参戦から8シーズン(2003-2010シーズン)連続で年間総合4位以内をキープしてきた。その才能は疑いようがなく、非常にアグレッシブなフライトを身上としているが、エンジンパワーと機体重量を制限するレギュレーションが施行された2014シーズン以降は苦戦しており、不満を募らせている。彼は他のどのパイロットより多くの表彰台経験を持ち、Team Chamblissも最も経験豊富なチームのひとつで、パウロ・イスコールドは過去にポール・ボノムを何度も表彰台に導いてきた名エンジニアだ。カービーはアブダビの序盤で敗退したが、これはパーフェクトなフライトとペナルティがいかに紙一重なのかを示している。今後のレースで巻き返せるチャンスはある。ペナルティを回避しつつ正しいスタイルとリズムを見出すことができれば、見逃せない存在になるだろう。

ラムが予想する2017シーズン年間総合順位:3~7位

 

ニコラス・イワノフ

ニコはまるでラグビーフランス代表のようで、好不調の波が激し過ぎて予想が立てにくい。彼は計り知れない才能を持っており、スイッチが入れば事実上無敵の存在となり、限界ギリギリのアングルでゲートを通過するが、集中しきれていないまま中団に甘んじるレースが多い。彼には興味深いデータがある。これまで表彰台を9レース経験しているが、そのうち5レースで優勝している。「表彰台に立つぞ」と決めたらそのまま優勝してしまうタイプに思える。ニコの最大の脅威は彼自身の中にあると言える。先日の開幕戦アブダビでは5位に沈んだが、私がチャンピオンを獲得した2014シーズン開幕戦の私のリザルトも5位だった。今後の全レースでトラックアナリストの分析にしっかりと耳を傾け、常に良いムードを保つように心がければ、2017シーズンのワールドチャンピオンになれるだろう。

ラムが予想する2017シーズン年間総合順位:1~6位

 

マイケル・グーリアン

マイケルと私は2006シーズンにフル参戦を開始したが、彼は私が初優勝を経験してから2シーズン後の2009シーズンのブダペスト戦でようやく初優勝を果たした。彼はこの初優勝以外にも、2007シーズンに年間総合2位を獲得しているが、それ以来なぜか表彰台から見放され続けている。その理由は私にも分からない。彼のエアロバティックのテクニックは私よりも上で、完成されたプロフェッショナルだ。また、優れたチームにも恵まれている。2016シーズン最終戦ラスベガスはキャンセルされたので公式記録に残っていないが、彼は極めて風の強いコンディションの中で衝撃的なタイムを叩き出しており、彼が速さとスキルの両方を兼ね備えているのは誰もが知っている。彼が昨シーズンのラスベガスで見せた「幻のトップタイム」を再現できれば、2017シーズンの彼には勝利が待っているはずだ。開幕戦アブダビでのマイケルはラウンド・オブ・8を僅か1000分の8秒差で落としたので、悔しい思いをしたはずだが、今シーズンは好調のはずだ。

ラムが予想する2017シーズン年間総合順位:2~6位

次回はマット・ホール / マティアス・ドルダラー / 室屋義秀 / ピート・マクロードの2009年組4名と、2010年デビューのマルティン・ソンカに対するラムの評価を紹介する。

 

■Information

Red Bull Air Race World Championship 2017シーズン 第2戦サンディエゴは4月15日・16日開催予定。観戦チケットの購入はこちら>>

第3戦『レッドブル・エアレース千葉2017』のチケット購入はこちら>>