ポール・ボノムが読む2017シーズン

ワールドチャンピオンを3度獲得したレジェンドパイロットが新シーズンの展望を語った

Bonhomme looks to the season ahead

ポール・ボノムはRed Bull Air Raceの歴史において最も輝かしい成績を収めたパイロットのひとりだ。現役時代に通算19勝を挙げ、3度のワールドチャンピオンを経験した彼は勝利の法則を知っている。また、ボノムは現役引退後もRed Bull Air Raceの中継コメンテーターとして活躍しており、客観的な視点も持ち合わせている。そこで、我々はボノムと共に来たるべき2017シーズンの展望を語り合うことにした。

2016シーズンはマティアス・ドルダラーが圧倒的な強さを見せた1年でした。彼は人間的にも成長し、チームや機体の進歩も目覚ましいものでした。ライバルたちが彼を倒すためにどんな努力が必要となるでしょう?

「マティアスと彼のチームが2016シーズンに見せたパッケージは完ぺきだった。最高の機体を手にしていても、それを操るパイロットの心理が乱れていたり、規律が失われていたりしてはレースに勝つことはできない。レースで勝つためには全ての仕事を正しくこなす必要があるが、マティアスはそれを見事にやってのけた。2017シーズンに向けて、ライバルチームはマティアスを手本にすべきだろう。新たなシーズン開幕に向け、各チームはメカニカルな部分をしっかりと整えつつ、ジグソーパズルのように散らばる全ての要素を考慮しながら、それらをひとつも見落とさずに "パーフェクト" を目指す必要がある」

 

ドルダラーは2015シーズンを年間総合3位で終え、翌2016シーズンにチャンピオンに輝きましたが、あなた自身も2014シーズンを総合3位で終え、翌2016シーズンにチャンピオンになりました。当時はどんな変化を加えたのでしょう?

「チャンピオンを獲得した2015シーズンは不確定要素をなくすように心がけた。2014シーズンはマレーシアで遭遇したエンジントラブルの原因究明に時間がかかってしまい、そこに振り回された結果、その後のシーズンの小さなミスの数々に対処できなくなってしまった。要するに、たったひとつのエンジンバルブの不具合がシーズン全体を台無しにしたというわけだ。そこで、2015シーズンは過去にチャンピオンを獲得した2009シーズンと2010シーズンの自分たちに立ち返り、全てにおいて完ぺきを目指した。言い換えれば、ひとつも運任せにしないということだ。朝起きて朝食を摂り、夜にベッドで眠りに着くまで、全てをプラン通りに進めた。これが上手くいった」

 

ドルダラーは元から速さに定評がありましたが、2016シーズンは何かスイッチが入ったかのように集中できていました。彼の中で何が変わったと思いますか?

「2016シーズンのマティアスは「もしかしたら」という不確定な発想を一切捨て、全てをプラン通りに行っていた。小さなミスが起きる確率を最小限にし、自分たちの強みを最大限に活かそうとしていた」

 

さて、マット・ホールに話題を移しましょう。2017シーズンのホールはEdge 540に搭乗しますが、彼のEdge 540における経験はごくわずかです。2017シーズンは彼にとってまるでマスタークラス初年度のような学習の1年になるのでしょうか?

「そうなると思うが、彼なら上手くやってのけるだろう。Edge 540のフライトを楽しむはずだ。私の中では、Edge 540はMXSよりも多少扱いやすい機体という印象だ。もちろん、新しい機体に習熟するまでは一定の時間が必要になるだろう。また、残念だが、開幕戦のマットは無難なラインでフライトし、オーバーGを回避しようとするはずだ。不慣れな機体はオーバーGを記録しやすいからだ。しかし、マットはプロフェッショナルなので、短時間で結果を出せるようになるだろう」

 

2017シーズンはカービー・チャンブリスにとって12シーズン目になりますが、依然として勝利に貪欲な姿勢を維持しています。2017シーズン注目の存在と言っても良いでしょうか?

カービーは以前よりも速くなっているように見えるが、各レースでミスをしないように心がける必要がある。私は「トレーニングでハードにプッシュして、レースデイでクリーンにまとめる」というアプローチがあまり好きではない。間違ったメンタリティに陥りやすいからだ。私は「どんな時もミスをしない」というアプローチの方が好みだ。このアプローチなら、レースデイに正確なフライトができるようになる。トレーニングからクリーンなフライトを心がけ、レースウィークの進行に合わせて、各エアゲートで徐々にリスクを取ってスピードを上げていくようにする。こうすることで、"クリーンなフライト" が脳に刷り込まれるので、レースデイ当日に細かい判断に追われたフライトをする必要がなくなる」

 

フアン・ベラルデはフリープラクティスや予選では期待を抱かせる速さを見せながら、レースデイではプレッシャーに負けて失速するというパターンが多いように見受けられます。この悪循環から抜け出すには何が必要でしょうか?

「経験を重ねるしかない。フアンは2015シーズンにマスタークラス・デビューを果たしたばかりのパイロットで、デビュー当時の機体も旧式だったということを忘れてはならない。彼は2016シーズンに新型のEdge 540を手にして以来、速くなり、シュピールベルクの予選ではトップタイムを記録し、実力があることを証明した。スピード以外の部分は時間と共に自然に身につくはずだが、「全てをプランに沿って行動する」というアプローチを取り入れれば、その時間を短縮できるだろう」

 

さて、予想をしてもらいます。Red Bull Air Race World Championship 2017シーズンの上位3名は誰になると思いますか?

「最後に表彰台の上に立っている3人だ(笑)」

 

では、2017シーズンにサプライズをもたらすパイロットは?

「そう感じさせてくれるパイロットだ(笑)」

 

◆Information

千葉県千葉市美浜区の千葉県立幕張海浜公園で開催される第3戦のチケットの詳細はこちら>>